霊園を選ぶにあたっては、費用、交通、設備、防犯、管理などさまざまなポイントがあります。契約したあとで後悔しないよう、検討の際に押さえておきたいポイントについて解説します。

交通の利便性は重要
墓地の種類には、公営墓地、民営墓地、寺院墓地の3つがあります。さらに、墓地に造園的な要素を取り入れてお墓参りができるようにしたものを霊園と呼んでいます。
1935年(昭和10年)に現在の千葉県松戸市に開園した八柱霊園が最初の霊園と言われています。開園当初は墓園と呼ばれていました。八柱霊園は多磨霊園、小平霊園などと並んで、公営霊園(都立)とも言われます。現在は全国各地に公営、民営の霊園が設立されており、その数は7,000以上に及んでいます。
霊園を選ぶにあたっては、公営か民営かが最初のポイントです。公営のほうが民営よりも管理料や使用料が比較的安いというメリットがありますが、反面、公営は抽選などで競争倍率が高く、必ずしもすぐに利用できないデメリットもあります。
民営霊園でも比較的安いところがありますが、交通の便が悪くなかなかお墓参りに行けない場所ということもありますので注意してください。お墓は建てるだけではなく、お墓参りを定期的に続けることが大切です。遠方で行くのが億劫になったり、最寄駅から遠くタクシー代などの費用が意外とかかったりと、交通の不便な霊園は後悔することもあります。
逆に、大きな霊園や交通の利便性の良い霊園となると、お盆やお彼岸のお墓参りに訪れる人が大勢いるため、霊園近くの道路で大渋滞が起きることがあります。霊園を見学するときには、霊園の職員にお盆やお彼岸の頃の人の出などを聞いてみるとよいかもれません。
設備・管理も要チェック
まれにですが、霊園内で花立てや線香立てなどの盗難が発生したり、墓石が倒されるなどの被害が起きることがあります。霊園内で被害に見舞われても霊園事務所が弁償してくれるわけではありません。防犯カメラが設置してあるなど防犯システムが整っている霊園を選ぶことも重要です。設備については、駐車場の広さや墓地からの距離、法要施設の有無、休憩所、水汲み場、トイレの場所、車椅子が通りやすくなっているかなどもチェックしましょう。
民営の霊園の場合、経営母体の信頼性もしっかり確認しておきましょう。経営母体がかわったために契約当初の管理料が何倍にもはね上がってしまったり、霊園の経営が不振で追加の費用負担を強制されることなどの例もあります。末長く先祖の供養を行うお墓だからこそ、長く安心して利用できる霊園を選びたいものです。
「宗教不問」に要注意
一般的に公営霊園は宗教不問としていますので、その場合はどんな宗教宗派でも安心して利用できます。民間霊園でも最近は「宗教不問」としているところが増えてきました。ただし、「宗教不問」となっていても、実際は「これまでの宗教は問わないが、お墓を購入して霊園を利用する際には檀家にならなければならない」と強制される場合がありますので、十分に気をつけてください。
また、将来、別のお墓に遺骨を移す改葬の可能性がある場合なら、公営霊園を選びましょう。改葬にあたっては、霊園から埋葬証明書を発行してもらう手続きがありますが、寺院等が経営する民営霊園の場合、檀家から抜ける離檀の手続きにお金がかかったり、改葬そのものに多額の費用がかかったりします。
霊園を選ぶ際には、以上のようにさまざまなポイントがありますが、将来にわたって長く供養を続けていけるかどうかが肝心です。できるだけ多くの候補地を選定して、実際に足を運んで確かめながら判断してください。