天台宗の教えと葬儀

天台宗の教えと葬儀

天台宗の教えと葬儀

天台宗は、中国で始まった大乗仏教の宗派のひとつで、中国から帰った僧の最澄が806年に開祖となりはじめた仏教宗派の一つです。

天台宗の教えと葬儀

117-1 天台宗とは?

 天台宗とは、もとは中国で始まった大乗仏教の宗派のひとつで、中国の僧、天台大師智顗(ちぎ)が大成させたものです。天台山で弟子の養成に努めていたことから、天台と名付けられました。

 日本における天台宗の開祖は最澄です。最澄は中国(当時は唐)に渡り天台山に上って天台教学を学び帰朝しました。806年に日本の比叡山において天台宗を始めたとされます。

 最澄の教えは、次の4つを中心としています。第一に、すべての人はみな仏の子と宣言しました。第二に、悟りに至る方法をすべての人に開放しました。悟りに至る方法はさまざまです。座禅、念仏、護摩供、巡礼、写経に加えて、茶道や華道、絵画や彫刻など、真実を探し求める心があれば、日常生活そのものが悟りに至る道とされています。第三に、自分自身が仏であることに目覚めることを説きます。第四に、一隅を照らすことをすすめます。一人一人が輝いて周りも照らしていくという意味です。以上を教義の中心としています。

117-2 天台宗の葬儀

 天台宗の葬儀では、まず司祭を選びます。そして、菩提寺に連絡し葬儀の日取りを決めます。

 葬儀に先立ち、通夜を行います。古くは臨終にあたり、臨終行儀という儀式がありました。死亡直後に枕経をあげる習慣もあります。通夜の儀式は、新霊の浄土への引入を祈ることが中心となり、阿弥陀如来のお迎えを頂戴するお経が唱えられます。

 天台宗の教えでは衆生は必ず仏になることができます。そのため、葬儀にあたり心身ともに仏の弟子となる儀式が行われます。その後、仏弟子としてこの世を離れ、仏の国である浄土へと向かいます。

 仏の浄土への門出に際し、姿形を改めて清浄にします。剃髪は煩悩を除き去る儀式として行い、実際に剃ることはあません。心も清浄にします。人は多くの罪を背負っています。それらを懺悔し心を清浄にするため懺悔の文を唱えます。

 心身ともに清浄になった段階で、仏の教えを授かります。仏教徒としての基本である3つの戒め、帰依仏、帰依法、帰依僧です。仏法僧の3つを仏に誓うことで人は成仏の縁を受けることができます。受け終わった証が戒名となります。

 いよいよこの世とお別れとなると、最後にもう一度仏の教えにより必ず成仏することを旅立ちの餞として言い渡すのが引導です。次に、霊棺に松明で火を付ける下炬の儀式をします。

 焼香について天台宗では特別な定めはありません。親指、人差し指、中指で抹香をつまみ、左手を添えていただき、香炉にくべます。焼香の回数は1回でかまいません。焼香が終わると、最後に新霊の往生をお迎えの阿弥陀如来にお願いし、十返のお念仏が唱えられて葬儀は終了します。

117-3 天台宗のお勤めの作法

 天台宗の檀信徒のお勤めの作法について紹介しましょう。

 まず、仏壇にお花・燈明・供物・お水などを供えます。次に、仏壇に向かう前に、口をすすぎ、手を洗い、身を清浄にします。そして、仏壇の前に、威儀を正して座ります。

 正座をしたら、線香をつけます。本数に決まりはありません。ここで、「献ずるこのお香の煙が、広く十方界にゆきわたって、諸仏・諸菩薩を供養し、ひいては先祖の世界にも届いて供養することができますように」と願います。

 数珠は左手にかけます。経本があれば軽くいただいて、胸の前で開きます。合掌は両手を胸の前で自然に合わせます。

 お経の声は、いつもの声より高い声で唱えます。打ち鳴らしの鈴は、始める前に2回、お経が終わるたびに1回ずつ、すべてのお経が終わるときに3回鳴らします。

 唱える言葉は、正式には、南無宗祖根本伝教大師福聚金剛(なむしゅうそこんぽんでんぎょうだいしふくじゅこんごう)ですが、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)を唱えることもあります。

 天台宗の本尊は、久遠実成無作の本仏、釈迦如来、阿弥陀如来、観世音菩薩などで、「さまざまな仏さまは釈迦牟尼仏が、縁によって人々を救うために姿を変えて現れたもの」と考え、多くの仏さまを等しく尊信します。天台宗の総本山である比叡山延暦寺の根本中堂には、薬師如来が祀られています。

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