肖像写真のことをポートレートと呼びますが、遺影もそのひとつです。元気なうちに写真を準備しておけば、いざというとき残された家族があわてなくて済むでしょう。最近は、普段着・笑顔で移る遺影が増えてきました。プロのフォトグラファーに、とっておきの1枚を撮ってもらってはいかがでしょうか。

遺影の費用は1~5万円程度
遺影と言えば、昔は黒いリボンのついた黒縁の額におさめられた「白黒」「喪服姿」「硬い表情」の写真が普通でした。最近は、その人らしさを表現することを大切にする傾向から、カラー、普段着、笑顔の写真が増えてきました。遺影は、亡くなってから準備するわけにはいきません。生前に撮影して準備しておくものです。
遺影は家族へのプレゼントでもあります。本人が納得できる写真を家族に残し、その写真を大切に保管してもらえたらどんなに嬉しいことでしょう。遺影にはできるだけ、ありのままの姿を写しておきたいものです。
一般的に肖像写真のことをポートレートと呼びます。遺影写真もポートレートのひとつです。遺影の撮影をプロのフォトグラファーに依頼すると、その金額は1~3万円程度です。価格の内訳は、撮影料、データを保管するCD-ROM、額などが含まれます。この金額は撮影スタジオに足を運んだ場合の料金ですので、出張依頼をすると交通費実費のほか出張料として1万円程度が加算されます。また、着付けやヘアメイクの料金は別途1、2万円程度かかります。フルサービスで利用すると5万円程度かかる場合もあります。
かかる経費は決して安価ではありませんが、亡くなった後ずっと家族のもとに置かれる写真ですから、数万円程度の出費は許容範囲ではないでしょうか。もちろん、ご自身または家族・友人・知人等に撮影してもらった画像データを遺影として使用することも可能です。その場合、遺影にかかるコストはほとんどかかりません。
写真は修整できる
遺影の飾り方
葬儀が終わったら、遺影は、四十九日の法要が済むまでの間は床の間等に設けられた祭壇に飾ります。四十九日が過ぎたら床の間の長押しなど、先祖の遺影のある場所に並べて飾るか、フォトフレームなどに入れて、任意の場所において供養します。気をつけたいのは仏壇の上には飾らないこと。先祖を見下す位置だからです。
仏壇の中に置くことも気をつけましょう。仏教宗派によって認められるケースと認められないケースがあります。遺影の向きには決まりはありません。東西南北どの方角を向いていても問題ないでしょう。置き場所はできるだけ目につかないところが無難です。玄関先などは避けましょう。
四十九日が過ぎたら大きいサイズの遺影は処分して、小さいサイズの遺影を仏壇の近くに置いておいてもよいでしょう。遺影の処分にしきたりはありませんが、お寺や神社でお焚き上げをしてもらってもよいでしょう。
遺影は、故人のとっておきの写真であり、残された家族が想いを込めて偲ぶもの。いざというときに家族が慌てないように、生前のうちに準備しておき、エンディングノートとともにしっかり保管しておきたいものです。