葬儀とマナー《姻族関係終了届と復氏届》

葬儀とマナー《姻族関係終了届と復氏届》

葬儀とマナー《姻族関係終了届と復氏届》

姻族関係終了届とは夫の親などとの親族関係を解消する手続きで、復氏届とは氏を旧姓に戻す手続きのことです。亡くなった夫の親について扶養義務があってそれを解消したい場合、姻族関係終了届や復氏届を提出すれば可能です。

葬儀とマナー《姻族関係終了届と復氏届》

配偶者の親の扶養義務

 夫が亡くなってしまい、残された妻が夫の親の生活の面倒を見なければならなくなった、という話が聞かれます。この生活のために経済的な援助を求めている人の衣食住について、自分と同等の生活を保障してあげなければならないことを扶養義務と呼びます。夫の親は、妻にとっては元は他人の関係でしたが、婚姻後は親族として扶養義務の範囲に含まれます。夫の親だからといって経済的な援助を拒むことはできません。

 夫の親と妻との間柄のことを専門的には姻族関係と呼びます。姻族関係は夫が死亡したからといって自動的に解消されません。夫の親に、子や孫、兄弟姉妹がいないなどの事情があって、他に身寄りがない場合は、妻が夫の親の面倒を見なければなりません。また、夫の親と同居している場合は、同居の親族と助け合う義務も生じています。

 ところが、妻と夫の親とは人間関係がこじれていて、夫が亡くなったのだから夫の親との関係も解消したいという場合があります。こういう場合は、市区町村の窓口に姻族関係終了届を提出することによって、夫の親との姻族関係を解消し親族関係をなくすことが可能です。姻族関係ではなくなりますから、扶養義務はなくなります。

姻族関係終了届

 姻族関係終了届は、配偶者(この場合は夫)の死亡届が受理された後、もう一方の配偶者(この場合は妻)だけが届け出ることができます。逆に、夫の親や兄弟が姻族関係終了届を出すことはできません。また、届出に際して、妻は夫の親などの姻族の同意を得る必要はありません。妻は一方的に姻族関係終了届を提出することができるのです。

 姻族関係終了届の手続きには、亡くなった配偶者の死亡事項が記載されている戸籍謄本のほか、届出人の戸籍謄本、届出人の印鑑等が必要になります。費用はかかりません。

 なお、届け出ても氏や戸籍は変わりません。氏を旧姓に戻したい場合は、復氏(ふくうじ)届を提出します。

 また、配偶者の遺産を相続した場合でも、姻族関係終了届はその相続権に影響するものではありません。その相続分を返却する必要はなく、そのまま受け取ることができます。

復氏届

 復氏(ふくうじ)とは、婚姻や縁組みなどの身分行為を行う以前の氏に戻ることを言います。復氏届とは、婚姻により氏を改めていた人が、配偶者(筆頭者)が亡くなった後、婚姻前の氏(旧姓)に戻るための届出のことです。

 復氏届をしても、亡くなった配偶者との姻族関係は継続します。姻族関係も終了させるときには、前出の姻族関係終了届を提出する必要があります。

 復氏届で旧姓に戻るのは本人だけです。子がある場合、子の姓や戸籍はそのままです。

 また、夫の死後、遺族厚生年金の支給を受けていた場合、姻族関係終了届や復氏届を出したとしても、引き続き年金を受け取ることができます。

 万一、配偶者が亡くなった後の氏や戸籍については、前もって検討しておき、エンディングノートにメモしておくことをおすすめします。

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