戸籍の話 PART3

戸籍の話 PART3

戸籍の話 PART3

 前回に続いて戸籍の話を紹介します。今回は、戸籍にまつわる相続ドラマです。
人が亡くなったとき、財産の多い少ないにかかわらず、つまり相続税が課されるどうかにかかわらず、相続手続きが必要になります。

戸籍の話 PART3

83-1 ケース1 兄弟姉妹の相続

 前回に続いて戸籍の話を紹介します。今回は、戸籍にまつわる相続ドラマです。
 人が亡くなったとき、財産の多い少ないにかかわらず、つまり相続税が課されるどうかにかかわらず、相続手続きが必要になります。手続きとして一番面倒なのが亡くなった人の銀行口座の相続です。遺産を引き継ぐ権利のある「相続人」が確定しないと、銀行は預金口座からのお金の引出しを認めません。そこで、相続人の確定のために、亡くなった人や相続人の戸籍の写しを調べ尽くすことになるわけです。
 よくあることではありませんが、人が亡くなったあとになって初めて、兄弟姉妹がいたことや、別に子どもがいた、養子縁組をしていた――ということが戸籍を調べた結果わかることがあります。今回は、そのような事例をいくつか紹介します。

亡くなったCさんは独り身でした。両親、両親方の祖父母ともにすでに亡くなっています。Cさんの財産を相続するのはCさんの兄2人、AさんとBさんになりますが、兄のAさんもすでに亡くなっていて子がおらず、存命なのはBさんだけでした。何事もなければ、Cさんの財産はBさんひとりがまるごと相続するはずでした…。
 BさんがCさんの預金口座のある銀行に出向くと、窓口係から「Cさんの死亡までの戸籍謄本とCさんの父母の戸籍謄本も提出してください」と告げられました。なぜ父母の戸籍謄本も必要になるかと尋ねると、CさんやBさん、すでに亡くなっているAさん以外に、念のため兄弟姉妹がいないかを確認するためとのことでした。
 「兄弟」には同じ父母から生まれた「全血兄弟」と、父母の一方だけが同じ「半血兄弟」があります。Cさんに対してAさんやBさんは全血兄弟に当たります。もし、このほかに知られていなかった全血兄弟または半血兄弟がいると、その人も相続人として遺産相続の権利がありますから、その有無を確認しないと、預金口座からお金を下ろすことができなくなるというわけです。そして半血兄弟は、父母いずれか一方の戸籍に入っているため、見つけにくいのです。
 さて、亡くなったCさんの父、Xさんの戸籍を調べると、Cさんの母、つまりXさんの妻であるYさん以外の女性との間に子Zさんをもうけていることがわかって、Bさんはぎょっとします。Zさんは、亡くなったCさんやBさん兄弟とは父親だけが同じ半血兄弟です。半血兄弟にも相続の権利がありますから(ただし全血兄弟の2分の1)、相続の手続きをするBさんは、Zさんと連絡をとって、遺産分割協議をしなければならなくなったというわけです。

83-2 ケース2 未成年者の相続

 地方の資産家などでは、家業の相続と相続税対策のため、祖父母が孫を養子にとっていることがあります。この養子となる孫が未成年の場合、祖父母が亡くなる相続では注意が必要です。
 祖父のAさんはすでに他界。そして、Aさんの妻であるBさんがこのたび亡くなりました。AさんとBさんの間に生まれたひとりっ子である娘のCさんは、AさんとBさんが築いてきた家業を、婿をとって引き継いでいました。そして、Cさんには待望の長男、Xさんが生まれました。AさんとBさんの孫であるXさんは未成年でしたが、将来は家業を継ぐだいじな跡取り男子として、祖母のBさんと養子縁組をしました。
 Bさんがなくなり相続となりました。Bさんの相続人は娘のCさんと養子縁組をしていた孫のXさんの二人です。ただし、Xさんはまだ5歳でした。

 養子縁組をすると養子の親権は実親から養親に移ります。そして本ケースの場合、養親の祖母Bさんが亡くなっても、養子のXさんとの養子縁組は解消されず、未成年のXさんの親権は実親のCさんに戻ることもありません。相続の手続きでは、未成年のXさんの代理人として家庭裁判所が特別代理人を選任し、遺産分割協議が行われることになります。このとき、Xさんの戸籍上に「未成年後見人」が選任されていることの記載があればその人がXさんの代理人となります。なお、実親のCさんがXさんの代理人として遺産分割協議ができないのは、CさんとXさんが同じ相続人の立場にあり、利害が衝突してしまうためです。
 祖父母との養子縁組はよくあるケースですが、養子が未成年の場合、実親には代理権がなく銀行預金を引き出せないといったことが起こるので注意が必要です。

83-3 ケース3 相続人の廃除

 例えば、子のうちの一人に目に余る非行があったり、亡くなった親が生存中に虐待や重大な侮辱を受けていたりしたという場合、親はその子にだけは財産を残したくないと思うもの。このような場合、家庭裁判所に申し立てることで、その非行の子の相続の権利をはく奪することができます。これを「廃除」といいます。「廃除」と認定されると、その非行の子の戸籍には「廃除」と記載されます。非行の子が入籍等により戸籍を新しくした場合でも戸籍に記載の「廃除」の文字は消すことができず、いつまでも記載が続いていきます。

 「廃除」には、生前の手続きで行われる「生前廃除」と遺言に書き記す「遺言廃除」があります。そのため、「廃除」を受けた人かどうかを確認するには、戸籍と遺言の両方を見て確認しなければなりません。
 なお、廃除の効果は対人的なもので、例えば父との関係では廃除されるが母との関係では廃除されない、ということはあり得ます。また、廃除の効果は一身専属のため、廃除を受けた人に子や孫がいる場合、その子・孫が廃除を受けた人に代わって相続権を引き継ぐことはあり得ます。
 このように、相続人の中に廃除された人がいると、相続人の遺産分割の割合が異なることがあるため、思い当たる節があるときには、戸籍の記載の見落としがないよう、くれぐれも気を付けたいものです。

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